リスティング広告の指名検索は必要か
web広告の世界は日々進化しており、特にリスティングにおける広告におけるキーワードは多くのマーケターにとって重要な要素となっています。中でも、社名や商品名といった「指名キーワード」は出稿するべき・しないべき、といった議論は今だに現場では議論されています。
本記事ではリスティング広告で指名検索を出した方がいいケース、出さない方がいいケースについて詳しく紹介します。
指名キーワード広告の誤解
リスティング広告の指名キーワードについて、まずは一般的な誤解についてお話ししましょう。
一般的に指名キーワードは多くの場合、自然検索結果(広告エリアではないエリア。広告と分けて「SEO」と呼んでいるケースが多い)で上位に掲載されることが多いため、広告費用をかける必要があるか疑問に思うかもしれません。
一方、広告効果をみると、クリック単価をも安く、コンバージョンも多く見込めるため、広告効果を押し上げる重要な部分であり、出稿した方がいい、という考えもあります。
この2つはどちらも正解であり、不正解です。
つまるところ、指名検索に対する検索結果の状態、ビジネスモデルによって、判断を変えると必要があるからです。
ユーザー行動と指名検索
ユーザーが指名検索を行う理由について考えてみましょう。彼らは特定の商品やサービスについての情報を求めており、購買意欲が高いと言えます。ですので、検索結果の一番上にある広告エリアにその情報がなければ、下をスクロールし、その商品やサービスが記載された結果をみつけてクリックすると想定されます。
仮に、広告で違う商品やサービスが表示されていたとしても、ユーザーが求めている情報でないため、クリックされ違うサイトに行ったとしても、また検索結果に戻って該当する商品やサービスをみると思われます。あなたも経験があるのではないでしょうか?
つまり、検索結果に来た上位サイトが必ずしもクリックされるわけではなく、あくまで検索しているユーザーが欲しい情報が検索結果として出てくること、かつそれが上位にあれば良いということになります。
繰り返しますが、指名キーワードは、一般的には自然検索結果で上位に来ることがほとんどです。しかも、よほどのことがなければ1位に表示されます。
その点を考えると、リスティングで指名検索を出す必要は無いと言えるでしょう。
検索結果とビジネス要件によっては必要
しかし、指名キーワードを出稿した方が良いケースがあります。これは以下のケースが考えられます。
自然検索結果に上位に上がってこない
社名やサービス名が他社と被っている、名称が似ている、サイトの問題など、自然検索で上位に上がって来ないことが稀にります。その場合、指名キーワードで検索しても、結果が出てこないことで機会損失を生む可能性があるため、出稿したほうが良いです。
ビジネス要件
メーカーなど、複数社に商品を提供し、提供先の各社がwebで販売している場合、検索結果がそのサービスの広告や自然結果で埋まり、自社サイトが分かりにくい場合があります。その場合、自社の売上を一番に考えるようでしたら、出稿する必要があります。ただし、提供先の売上を一番に考えているようでしたら、出稿する必要はありません。
広告運用の観点からだけで判断してはいけない
広告効果の観点から言うと、指名検索はコンバージョンも多く、クリック単価も安いため、獲得単価もかなり下げることが可能です。そのため、広告担当者や運用している広告代理店としては、指名検索を出し続けたいと考える人も多いでしょう。また、「他社の広告がでている(違う商品名で)」「広告で1位にないと離脱する」など言われたりもしますが、検索ユーザーの気持ちになった場合、必ずしもそうとは言えません。
あくまで、検索ユーザーの気持ちを第一に、検索結果をチェックし判断する、という定性的評価を加えてみてください。
売上は変わらず広告費約40%削減
私のクライアントでは、指名検索の出稿をやめたことで、売上は変わらず、毎月の広告費を40%弱削減させることができました。これも、運用のテクニカル面だけで継続出稿をしていたのですが、検索ユーザーの気持ち、検索結果、ビジネスの仕方などを踏まて停止をしたところ、売上を落とさず、40%削減に成功しました。
もちろん、いきなり停止するのはリスクもあったので、事前に検討し、期間を決めてテストをしました。もし不安があるのなら、まずは期間を決めて停止するなど、テストをすることをおすすめします。
結論
Web広告における指名キーワード広告の効果的な活用は、ビジネス要件や検索結果に依存します。指名検索の理解と戦略的活用は、単に広告運用のテクニカル面だけでなく、ユーザーのニーズや検索結果を考慮する必要があります。ぜひその点を踏まえて、指名検索の扱いを検討してみてください。